★★★★
憧れ、大好きだった姉のインダーが飛行機の事故でいなくなった。弟のアビーと、親友のセフィアと、母と父。インダーを愛していた人たちの、喪失の後の日々。
アンガ監督作品の多くに脚本で関わっているMohammad Irfan Ramlyさん監督作。すごく良かった。 喪失の後の、どうしようもない感情が生む、どうしようもない行動。身勝手で、気持ち悪くさえあって、甘えていて、批判するのは簡単なんだけれど、でも、そのどうしようもなさを受け入れるその人も、それしかできないでいる。喪失を深めることにしかならなくて、他の人を傷つけるのだとしても、その瞬間そうするしかなかった。 そんな場面の連続でずっと胸が締め付けられる。
喪失は決して癒やされたり消えることのない“事実”で、少しずつ日常が戻ってきても、彼らはこの先もずっとそれと共にいる。 ラストの
「それが僕たちが海を見た最後だった」
たったこれだけの台詞にアビーの、彼らみんなの、喪失の全てが込もっている。映画の全てがこの台詞を本物にしている。きっとずっと忘れられない。 愛するものがいなくなる、よくある話をこういう風に忘れられない映画にする力、本当にすごいと思う。