ごたくはいいからあらすじまで飛びたい人はこちら
現在Netflixで大人気配信中の『ベン&ジョディ』
私が5年間推し続け、インドネシア語を学び、インドネシアに年1で渡航する最たる理由となっているベンとジョディですが、この作品は『珈琲哲學』シリーズの第三作にあたります。ベンとジョディにはジャングルに行く前に大都会ジャカルタでの長い歴史があるんです。
2016年の東京国際映画祭に招致され、日本の配給会社に買いつけられて一般公開を待つばかりだった『珈琲哲學』はしかし、配給の不手際により一般公開はなされずAmazonprimeで配信されていました。2026年の2月まで。
そう、今年の2月、配給権が切れたため配信がなくなりました。映画の配給権はだいたい10年で一区切り。予想をしていなかったわけではないものの、5年間宣伝活動に勤しみ続けてきた身としては衝撃でした。そもそも『珈琲哲學2』は最初から日本で見る術がなく、1はアマプラ有料、3はNetflixという、見てくださいというにはハードルの高い環境だったけれども、とうとう1までも見ることができなくなってしまったのです。アマプラで購入済み&インドネシアで制作会社10周年記念でのみ販売されたDVDを持っている私は見ることができますが、人に「見てくれ」ができない。自ジャンルを耕したいおたくとしては痛恨です。もちろん、私に連絡をくれればパソコンを担いでどこにでも行き『珈琲哲學』1と2を解説付き(黙ることもできます)で見せますが、そんなプレッシャーをかけられながら見たいおたくはそう多くない。
配信終了の報を聞いてしばらくは「やりきったってことだな」と半ば諦めの境地でした。SNSでは日課のようにベンとジョディを推し続け、インドネシア映画紹介本と抱き合わせで出した『珈琲哲學』だけを推す46頁/変型/クラフト/特色白インク の無料配布(発刊当時)はいつの間にか神戸の珈琲豆屋で通販中
となり(映画をきっかけに知り合っただけでなんの利害関係もないお店です。本当に珈琲が美味しく、真摯で誠実で素敵な人柄の店主とバリスタが友人同士で始めたお店。是非珈琲だけでも買ってみてください)ジャカルタのブックフェスタでも販売される光栄にもあずかり、できる範囲のことは全部やった結果のいま。だから自ジャンルのおたくがそんなに増えなかったとしても受け止めるしか仕方がない。映画は素晴らしいし宣伝も頑張った、でもおたくが食いつくかどうかには風向きがある。だからあとは静かに好きでいよう。そう思いました。
でもまだ『ベン&ジョディ』は見られる。
おたくでもなんでもない珈琲豆屋さんが「まだ『珈琲哲學』のためにできることがあるのかもしれない」といって頑張ってくれている。(おたくでもなんでもないのに同人誌やWEBアンソロに寄稿もしてくれます。どうして)
ムパラで全然関係ない香港映画の本を売りに行って、1冊も出ないだろうけどと置いていた『珈琲哲學の本』を手に取ってくれる人がいる。
じゃあ可能性はまだ……ある!?
というわけで『ベン&ジョディ』を見てくれるかもしれない人たちのために簡単に『珈琲哲學』の1と2のあらすじを置いておきます。
ちなみに
ポスターの変遷
を見ると、いかに3が異質なのかをわかってもらえると思う。1と2はシティボーイのカフェ経営を主軸にした話ですが3になるとジャングルに突っ込まれてヤヤン・ルヒアンが出てきます。でもベンとジョディがふたりで生きる選択をするに至るためにジャングルが必要だった。



ね。私は一番最初に3のポスターを見た時、名前だけ同じ違う映画の話なんだろうなと思ってました。
<あらすじ>
前置きが長くなりましたが、以下にあらすじを書いておきます。ご参考になれば幸いです。本当のことしか書いていませんし、嘘は入っていませんが時折私の感想が(感想と分かるように)紛れ込んでいます。長すぎるんですがどう削ればいいかわからなかった。この長さを読むだけでうんざりするという人もいるかもしれないから削るべきなんだけど全部必要な情報過ぎて・・・・・・太字とでかい字はおたく本質情報です。どうぞよろしくお願いします。
読まなくても『ベン&ジョディ』だけ見ることは可能ですので、ここであらすじが長いだけで諦めないでください!!とりあえず見て!見てから読んだっていいんだ!!!
☕『珈琲哲學』
幼いころから兄弟のように育ってきたベンとジョディ。珈琲を淹れることを天職とするベン(長髪)のためにジョディ(眼鏡)は亡くなった父親の経営していた雑貨店を改装してカフェ「FIROSOFI KOPI(珈琲哲學)」を開店する。珈琲に関しては天才といっていいベンだが、幼くて我儘、自分の理想とする珈琲のためなら他のことは考慮しない性格のため、父親の残した借金と店の資金繰りに苦しむジョディとはしょっちゅう衝突している。そんな中「珈琲マニアの投資家から資金を得るためジャカルタで一番の珈琲を淹れてほしい、投資家が認めたら1億ルピア(約100万円)を渡そう」という不動産会社の社長が現れる。もちろん話にのれというジョディだが、ベンは社長に「俺が勝ったら10億ルピア(約1000万)、そのかわり負けたら俺たちが同じ額払う」と勝手に約束する。負けたらどうするんだと切れるジョディだが俺は負けないというベンを結局は信じて、ジャカルタで一番のブレンドを作る日々が始まる。
最高の珈琲「ベンズペルフェクト(ベンのパーフェクト、命名ジョディ)ができ、店でも大好評、連日満席で自信満々のふたりだが、珈琲の本を出版するという国際珈琲鑑定士の資格を持つエルが店を訪れ「まあまあね」と評する。納得のいかないベンがそれならインドネシアで一番の珈琲はどれだよと詰めると珈琲農家のところで飲んだ「ティウス」だという。エルに認められないなら勝てない、勝てなければ店を売るしかないとジョディはティウスの農園に行ってベンズペルフェクトの方が美味いことを確かめようというが、ベンは二の足を踏む。スマトラ島のある村で珈琲農園を営んでいたベンの父親は、パーム油のプランテーションのため土地を奪おうとする企業に対して反対運動を行っていた。その結果、妻を見せしめに殺され「次は息子だ」と脅された父は農園を捨て、二度と珈琲に手を出さないと誓った(これはフィクションですが、インドネシアには実際にそういった強制的な土地の強奪と企業に雇われたやくざ者による暴力の歴史があります)。ベンにも珈琲と関わることを禁じるが幼く状況の理解できなかったベンはそれに反発して家出し、ジャカルタでジョディの父親に助けられそのまま引き取られていた。そのトラウマで農園に近づきたくないベンだが、店の従業員であり開店前から一緒の仲間にお金が必要になったこともあって、重い腰を上げてエルとジョディと三人で農園に向かうことになる。道すがら、エルに興味のあるジョディが親しくすることに腹を立ててわざとお茶をぶくぶくさせて飲んだり、話の邪魔をするためにリズムを取ったり、机を叩いて不機嫌になったりする(話の本筋とは関係ないがおたくてきに重要な情報)。ティウスの農園で温かく迎えられ、本当に美味しい珈琲を飲むがベンは挑戦的な態度を崩さない。秘密があるはずだ、畑を見せろといって珈琲農園に向かうベンが見たのは父親に教えられた哲学と同じ思いで珈琲を育てる農園の主セノの姿だった。
ティウスを買うというジョディと大喧嘩し、エルに「あなたの珈琲は執念、セノさんは愛を込める」といわれたベン。ジャカルタに戻り、素直にティウスを焙煎して投資家に出し、見事10億ルピアを手にするが、そのまま店を辞めると言って出て行ってしまう。スマトラ島に戻り、野菜農家となった父親と20年ぶりに再会してお互いの誤解を解いたベンだが、ジャカルタではひとり置いていかれたジョディがなんとか店を回しながら、ベンとの幼少期のビデオを体育座りで(話の本筋とは以下略)見てベンの不在に耐えていた。
ジャカルタからスマトラ島の村まで、車と船で一日がかりの道のりを向かうジョディ。ベンとベンの父親に迎えられたジョディは「俺は頭でお前は魂。バラバラじゃ生きられない」と帰ってきてほしいと伝える。
そして帰ってきたベンが見たのは売却済みの店と、キッチンカーである珈琲バスだった。お金はセノさんに渡した、このバスでインドネシア中にお前の珈琲を飲ませようというジョディ。仲間と共にバスに乗り込み、肩を組んだふたりは次の街へと出発する。
☕☕『珈琲哲學2』
1のラスト、店を売って代わりにコーヒーカーで国中を周ることにしたベンとジョディ。その旅の様子から映画は始まる。島から島へと珈琲バスごと船に乗せ気の向くままに青空カフェを開店し珈琲を淹れる日々にはなんのしがらみもなく、資金繰りに追われもせず、2人は幸せで堪らない様子だ。
けれどそんな毎日の中、体調を崩した仲間のナナがベンとジョディの泊まる部屋(※お金があるにも関わらず当然のように2人部屋なのですが、ベッドはひとつ、洗面台は2つという構造です。ジョディは下着一枚に薄いガウンを羽織るだけの格好で洗顔しており、ベンはベランダで珈琲を飲んでいます。2人と顔合わせたナナはその様子をみて「あっ(察し)」の顔をします。こちら全て誇張なしの見たままです。本当です)を訪ね、妊娠したことを告げる。祝福してナナを夫のいるジャカルタへ送り出し、変わらず旅は続いていくつもりだったベンとジョディだが、バリスタのアガーとアルディもジャカルタに戻りたいと告白し、店を去ってしまう(※グッズTシャツができたぞー!と2人ではゃいでいた時にいわれました。何年も一緒にいる仲間なのに自分の店が持ちたいという夢に気づくともなく不機嫌になるベンはベンなので仕方ないとしてもジョディも引き留めにかかるので、本当にお互いのことしか考えてないんだなと思います。コーヒーカー生活があまりにも幸せだった)。
なんとか続けていこうとするが人手不足で店は回らず(※ジョディがスタッフを雇っても一週間以内にベンが全員クビにします。臨時スタッフの捨て台詞は「ジョッド、あんな奴とは働けない」です)2人はジャカルタに戻り元の店を再開させることを決断する。
しかし土地の高騰と資金不足で簡単には買い戻せず、投資家を募ってもなかなか話が進まない。そんな中、友人の紹介で会ったタラという女性が興味を示すが、彼女の出した条件は共同経営者の立場と49%の株式だった。ありえないというジョディに対し、支店も出して店を拡大していこうという提案に乗り気のベンはわかりもしない株式の話に大丈夫だと決断を促す。結局のところベンのやりたいようにさせてやりたいジョディは軌道に乗ったら買い戻せばいいからとタラの提案を受け入れ契約書を交わし、3人で店を再開することとなる。
オープンから長蛇の列を作るFilosofikopiだったが、ある日来店したブロガーに「魂を失った」と評されてしまう。そのブロガーに珈琲を淹れたのはブリーというジョディが雇った女性で、最初からべンには気に入らないバリスタだった(※基本的にジョディが連れてくる女性については敵対心をもって接するか口説くかの二択です)。挽回を図るためにジョグジャカルタの支店の準備を急ぎ、そのオープニングイベントにブロガーを呼ぼうというタラの提案に乗って、ベンはタラと共にジョグジャカルタに向かう。インテリアやエスプレッソマシンなど理想の店づくりに邁進するベンは、ジョディと違って投資すべき場面だと思えば資金を惜しまないタラに懐き(※タクシー代を出させる上にスマホまで買ってもらうヒモっぷりを見せていました。コーヒーカー生活時、スマホはジョディのものを借りていたので多分1の最後辺りでいらなくて捨ててます。ジョディがいれば完結する生活を送る男)、財務を案じるジョディはブリーを連れて支店にやってくる。
タラと仲を深める様子のベンを気にするジョディを後目に、ブリーの紹介で上質の珈琲豆の仕入れ先も決まり開店準備は着々と進んでとうとうオープニングイベントの日を迎える。
賑わう店の中、上機嫌で珈琲を淹れているベンの元に一本の電話が入る。それは、父の逝去を知らせるものだった。
失意に沈むベンを抱きしめ、葬儀で共に棺を担ぐジョディ。埋葬を追えたところに父の死を悼むグリーティングボードが送られてくるが、送り主は母を殺して父の珈琲農園を奪った企業だった。激昂しグリーティングボードを破壊するべン。その夜、ジョディと2人になったベンは「ひとりになっちまった」と零し、ジョディは「まだ俺がいる、ベン」と珈琲を差し出す。ひと口飲んで「どうやってこれ淹れたんだよ、なにが俺がいる、だ」といってベンは珈琲を淹れ直し、ジョディはほっとしたように笑う。
そうして支店に戻った2人だが、数日後、今度はタラ宛に店のオープンを祝うグリーティングボードが届く。送り主はタラの父親で、そしてその父親の名は、葬儀で見た企業の名前と同じだった。ジャカルタに戻り契約書を確認したベンは、タラが最も憎んでいる相手の娘だということを知って荒れ狂い、葬儀でそれに気が付きつつも口にすることができなかったジョディはタラをベンから引き離そうと仕事に連れ出し、避けられていると悩むタラに状況を説明する。父親と折り合いが悪く、Filosofi Kopiへの出資もあくまで自分の稼いだ資金から出していたタラだがそれでも責任を感じてショックを受け、ジョディはそんなタラをケアしようとする。一方のベンは支店から戻ってきたブリーとぶつかりながらも仲を深める。
ベンに謝罪しようとジョディに黙って店を訪ねるタラだが、そんなことができる精神状態ではないベンと言い合いになり、駆けつけてきたジョディに対してもベンはお前は俺を裏切ったんだと喚き散らす。
「お前は全部知ってたのに俺に隠してた!」
「隠してたわけじゃない。どうすれば解決できるか考えてただけで、みんなにとって一番いい方法を」
「みんなに?あいつにだろ? あぁ? お前あの女が好きなのか? いってみろよ、俺に。誰が俺の母親を殺したんだよ、誰が俺の父親を野菜農家にしたんだよ」
「ベン、話を」
「お前あの女と知り合ってどのくらいだよ。俺とお前は人生の全部で一番の親友だった。お前がどんな女を好きになろうと結婚しようと離婚しようとそいつらをくそみたいに捨てたって俺は気にしない、どうでもいい。だけど、あの女はだめだ、ジョッド。いっそ俺を殺せよ」
後日ジョディとタラを呼び出したベンは2人の株を全部買い取ると宣言する。お前だけの店じゃないと追いかけるジョディを置いて去り、株を買う金を借りに行くが、知り合いの金貸しにお前たちは2人でなきゃだめなんだと諭される。金の問題じゃない、ジョディと一緒に問題を解決しろと断られてどうしようもなくなったベンは、ブリーを誘って故郷の村を訪れる。
父の残したものがあると住民から聞かされていたベンがそこで見たのは、小さなビニールハウスで成長する珈琲の苗たちだった。妻を殺され、息子を失いかけ、二度と珈琲の木に触れることはないと豆を焼き払った父がベンのためにもう一度栽培を始めていたことを知り、ベンは父の愛に触れて涙をこぼす。
ジャカルタに戻る船の中、ブリーに何を考えてるかと聞かれてベンは「ジョディ」と返す。
店を辞め、故郷の村で珈琲の木を育てることに決めたベンに、ジョディは伝える。
「でも今度はもう迎えに行かないからな」
「くそ野郎、店を辞めて、俺をひとりきりで残していって、それもお前のためになるんだな」
堪えきれない涙を隠しながらそういって抵抗するが、それでも最後には「気を付けろよ、べニ」と送り出す。
ミッドクレジットでは珈琲豆を出荷するベンとブリー、支店でエスプレッソマシンの前に立つジョディとタラの姿が描かれる。
ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。『ベン&ジョディ』への準備はばっちりです。2で自立してお互いの道を行くふたりですが、やはりバラバラでは生きられない。その確認のためのジャングルが始まります。
youtubeにはミニシリーズもあります。2分間だけ見てもらえると本当にやおいが凄いことが分かってもらえると思う。
おたく的にすごい情報、いくらでも出せるので(ビハインドとかインドネシアに実際にあるお店のこととか)いつでもご連絡ください。本当にいつでも、懇切丁寧に対応します。




